会社の大きなトランスフォーメーションの波にのまれ、私もチームが変わり、本家 Microsoft Edge Dev Blog の記事を訳すのがやっとというありさまで、すっかりこちらの更新がご無沙汰となってしまっておりました。(なんと!、こちらのブログには今年初の投稿です)
今回の記事では 4 月 11 日 (2017 年) からの配布がアナウンスされている Windows 10 Creators Update に搭載される Edge の新機能について紹介します。
Windows 10 Creators Update は、Windows 10 更新アシスタントを利用した手動アップグレードが 4 月 5 日(米国時間) から可能だそうなので、配布が待ちきれない人はそちらから入手していちはやくお試しになるのも良いでしょう。
今回も皆様のフィードバッグからさまざまな機能追加や修正がなされています。
もちろん、某 Faceb〇〇k に投稿する際に入力文字のお化けが出てしまう件も修正されています。(開発メンバーが「fix it」、と言っていたし、私の手元でも今のところ問題が発生していないので、修正されていることと思います。)
この場をかりて、さまざまなフィードバックをいただいたすべての皆様に感謝いたします。
Windows 10 Creators Update での
Microsoft Edge の新機能
Windows 10 Creators Update で追加される新機能はたくさんありますが、ユーザーが触れるところから、ということで UI があるところから紹介していきましょう。
タブ機能の強化
前回の Windows 10 Anniversary Update で、Edge のタブには「お気に入り」や「プレビュー」機能が追加されましたが、Windows 10 Creators Update ではさらに使い勝手を向上させるための機能が追加されています。
表示中のタブの終了と保存、そして復元
Microsoft Edge ウィンドウの左上の端から 2 番目の [表示中のタブを保存して閉じる] アイコンをクリックすると、表示中のタブをすべて一度にまとめて閉じることができます。
閉じられたタブが表示していた Web サイトの URL は保存されており、これにアクセスするにはウィンドウ左上隅にある [保存して閉じたタブ] アイコンをクリックします。
同タブをクリックすると、保存された Web サイトのサムネイル画像を含んだブレードが表示されます。
タブは、保存されたタイミング単位で複数のものがまとまって保存されています。
保存されたタブを再度表示するには、サムネイルをクリックします。もしくは、同じタイミングで保存されたタブを一度に戻すには 、同ブレードの右端にある [タブの復元] リンクをクリックします。
また [タブの復元] メニューの横にある […](その他) メニューをクリックするとタブの URL を [お気に入り] に追加したり、タブを他のアプリで共有したりできます。
この機能は、一時的な [お気に入り]としても使えるかもしれませんね。
タブのプレビューの一覧
前回の Windows 10 Anniversary Update では、タブがロードしている Web コンテンツのプレビューを表示する機能が追加されましたが、Windows 10 Creators Update では、これを一覧表示できるようになりました。
この機能を使用するには、Edge ウィンドウ内にあるタブの右端にある [タブ プレビューを表示] アイコンをクリックします。
各タブの下にプレビュー画面がサムネイル表示されます。
もとに戻すには再度 [タブ プレビューを表示] アイコンをクリックします。
Web-to-App のサポート
Web からアプリへのリンク (Web-to-App) をサポートするウェブサイトへのリンクをクリックすると、設定アプリのウェブサイトのアプリセクションで設定されているように、それぞれのアプリでそのページを開くようになりました。
Web-to-App がどういうものであるか知りたい方は以下のドキュメントをご覧くださいませ。
ジャンプリストから直接 InPrivate ウィンドウへ
Internet Explorer のように、タスクバーのアイコンを右クリックした際に表示されるジャンプリストから、直接 InPrivate ウィンドウを開くことができるようになりました。
InPrivate ウィンドウを使用すると、履歴などプライバシーに関わる情報を保護することができます。他人知られたくない Web サイトを閲覧をするときはもちろんですが、Web サイトのサービスへ、別アカウントでログインする際や、自動で認証されているアカウントの影響により操作がうまくいかないといった場合にも役に立ちます。
Web ノートの機能強化
Microsoft Edge のもっとも特徴的な機能である Web ノートに、そのアイコンの変更が示すとおり(?)ささやかですが新機能と変更が加えられています。
Web ノートのメニューの位置はそれまで、画面左上に表示されていましたが、今回のアップデートでは画面右上に移動されています。
タッチによる手書きのサポート
[タッチによる手書き] メニューが追加されました。これまでも、メニューがないだけで、タッチによる Web ノートの書き込みを行うことができましたが、これをオフにすることができませんでした。今回のアップデートでは、[タッチによる手書き] メニューをクリックすることで、機能のオン/オフを切り替えることができます。
ペンの色とサイズの強化
[ボールペン] や [蛍光ペン] メニューをクリックした際に選択可能な色が増え、ペン先の太さもスライダーで変更できるように強化されました。
ここで選択された内容は、前出の [タッチによる手書き] にも反映されます。
共有機能の変更
アイコンのデザインに合わせたのかどうかは定かではありませんが、Web ノートの共有機能のデザインが変更になっています。
以前は Windows 8.x の “チャーム” のようなブレードがウィンドウの右側からせり出してきていましたが、今回のアップデートではダイアログボックスが表示されるようになっています。
EPUB のサポート
Edge で EPUB 形式の電子書籍ファイルがサポートされました。
EPUB 用に特別にアプリケーションをインストールしなくても、直接ファイルの内容を閲覧することができます。
著作権の関係で、文面の表示された画面ショットをお見せできませんが、日本語の表示はもろろん、縦書きも問題なく表示されます。
目次、ブックマーク、検索しもちろんのこと、文章の読み上げや、
テキストのサイズや文字間隔、フォントスタイルやテーマなども柔軟に変更することができます。
Edge の EPUB 機能については、Jun Tajima さんが詳しいレビューを書かれておりますので、ご興味のあるかたはぜひご覧くださいませ。
Flash コンテンツの挙動の変更
Windows 10 Creators Update から、信頼できない Flash コンテンツは既定でブロックされており、ユーザーが明示的にプレイするまで実行されないようになりました。これにより、セキュリティ、安定性、パフォーマンスが向上し、選択した時点で Flash を実行するというオプションが選択できます。
Flash コンテンツがブロックされたときに明確にするために URL バーはダイアログボックスが表示されます。一度、または同じサイトに戻るたびに Flash を許可するパズル アイコンをクリックします。
Windows 10 Creators Update における Edge での Flash コンテンツの動作については Microsoft Edge Dev Blog: Extending User Control of Adobe Flash with Click-to-Run. をご覧ください。
フルカラー emoji のサポート
Microsoft Edgeでは、絵文字 (emoji) を使用している Web サイトにフルカラーの新しくなった絵文字が既定で表示されるようになりました。
この絵文字は、Windows 10 のソフトウェアキーボードなどからも入力することができます。
これら絵文字は一般的な SNS などでは画像で変換されてスマートフォンなどからでもきちんと見ることができます。
API のサポート
Windows 10 Creators Update で Edge がサポートした API は、細かくはさまざまなものがありますが、ざっくりとは以下のとおりです。
- Ambient Light Sensor API
- Async Functions
- Brotli Compressed Data Format
- Content Security Policy Level 2
- CSS outline-offset
- Destructuring (ES6)
- H.264/AVC for RTC
- Intersection Observer
- Modules (ES6)
- Payment Request API
- RegExp Built-ins (ES6)
- SIMD
- VP8 for RTC
- WebRTC – WebRTC v1.0 API
- WebVR
これらのいくつかについては、Microsoft Edge Dev Blog に記事が投稿されているので、私が抄訳したものとあわせ紹介させていただきます。
- Microsoft Edge での WebRTC 1.0 および相互運用可能なリアルタイム通信の紹介
- Content Security Policy Level 2 サポートの概要
- よりシンプルな Web の決済方法 : Payment Request API の紹介
- CSS Custom Properties in Microsoft Edge
Progressive Web Apps 対応は?
Progressive Web Apps への対応は、多くの開発者が気になるところでしょう。Microsoft Edge Development の Platform Status で確認すると、Progressive Web Apps を構成する所要機能のいくつかのステータスが IN DEVELOPMENT (開発中) のままになってします。
しかし、これらの機能は、試験的に Windows 10 Creators Update の Edge に搭載されており、検証に使用することができます。
これらの機能を試すには、アドレスバーに about:flags と入力して [開発者向け設定画面] を表示し、以下の該当する機能のチェックボックスにチェックをつけ、Edge を再起動します。
拡張について
Windows 10 Creators Update により、Edge 拡張はネイティブメッセージングを使用して、ユニバーサル Windows プラットフォーム(UWP)アプリケーションと通信することができます。Edge 拡張は Chrome や Firefox の拡張と同じネイティブメッセージングAPIを使用します。ただし、Edge のネイティブメッセージングホストは、Universal Windows Platformを使用して実装する必要があります。
この機能を使用すると、Web アプリケーションでは実現できないプラットフォーム固有やハードウェアリソースを利用したソリューションを UWP アプリと連携して実現することができます。
詳しくは以下のドキュメントをご参照ください。
なお、一般の開発者が作った Edge 拡張の Windows ストアでの公開については、2 月に Edge 開発者の人間に聞いたところ「とくに新しい情報はきてないよ」とのことだったのて、もう少し先になると思われます。
管理者向け機能
Windows 10 Creators Update により Microsoft Edge には、12 個の新しいグループポリシーが追加されましした。
どのようなものが追加されたか?、については、後日このブログで詳しく紹介したいと思います、
その他
Windows 10 Creators Update についての細かな機能追加や修正、変更については、Microsoft Edge Development の Changelog で確認することができますので、Edge の変化についてより詳しく知りたい方はぜひアクセスしてみてください。
また、Windows マシンをお持ちでない方は、ぜひ無償の検証用仮想マシンやリモート環境をお試しください。